
こんにちは!
「機械系の俺がIT業界に転生してみた件」、ブログ主の瑠璃坊主です。
前回の記事では、クラウドの世界で大活躍する「仮想サーバー」について解説しました。
物理的なサーバーを準備することなく、数クリックで自由に作ったり消したりできる仮想サーバーは、めっちゃ便利な存在です。
前回の記事はこちら↓
未経験からITエンジニアを目指す人必見!クラウドの仮想サーバー(EC2)を徹底解説
今回は、この仮想サーバーをさらに強力に、そして安全に運用していくための3つの重要な機能について、僕が実際に勉強して「なるほど!」と感じたポイントを皆さんと一緒に見ていきたいと思います。これらの機能を使いこなせば、サービスの安定性が格段に向上し、コスト削減にもつながりますよ。
専門用語は、なるべく簡単な言葉に置き換えて説明していきますので、安心してくださいね。
ロードバランサー:アクセスの渋滞を解消する交通整理役

皆さんは、お正月やゴールデンウィークに高速道路の料金所で大渋滞に巻き込まれた経験はありませんか?何車線もあるのに、なぜか一つのゲートにだけ車が集中してしまい、全然進まない…なんてことがありますよね。
ITの世界でも、同じようなことが起こります。例えば、新商品の発表でウェブサイトにたくさんのアクセスが集中した時、もし一つのサーバーだけで対応しようとすると、そのサーバーが処理しきれなくなってしまい、サイトがなかなか表示されなくなったり、最悪の場合はサーバーがダウンしてしまうこともあります。

最近だと任天堂スイッチ2の抽選で任天堂のサイトがサーバーダウンしてたのに遭遇しましたね
そこで登場するのが、ロードバランサーです。
ロードバランサー{複数のサーバーにアクセスを均等に振り分けて、負荷を分散するサービスのこと}は、まるで優秀な交通整理員のように、ウェブサイトへのアクセスを複数のサーバーにバランス良く振り分けてくれます。これにより、サーバー1台あたりの負担を減らし、たとえアクセスが急増しても、スムーズにサービスを提供できるようになります。
【ロードバランサーの役割】
- 負荷分散(ロードバランシング):これが一番の役割です。アクセスを複数サーバーに均等に分配することで、特定のサーバーに負荷が集中するのを防ぎます。
- 死活監視:ロードバランサーは、常に各サーバーが正常に動作しているかを見張っています。もし、どこかのサーバーが故障してしまったら、そのサーバーへのアクセスを自動で停止し、残りの正常なサーバーへだけアクセスを振り分け続けます。これにより、サービスが止まることなく継続できます。まるで、故障したレジを閉鎖して、他のお客さんを別のレジに案内するお店の店員さんみたいですね。
さらに、ロードバランサーは、複数の物理的に離れた場所にあるデータセンター{サーバーを設置・管理するための施設のこと}にまたがるサーバー群にアクセスを振り分けることも可能です。AWSでは、このデータセンターの単位を「アベイラビリティーゾーン」と呼んで、地震や停電といった災害リスクにも備えています。
東京が大災害にあったとしても、大阪のデータセンターにバックアップがあったとしたら何とか復旧が出来そうですよね。そういう考え方です。

オートスケーリング:需要に合わせて自動でサーバーの台数を調整する仕組み
次に紹介するのは、オートスケーリングです。これは、僕のようなプラントの出身者からすると、生産する量を自動調整してくれるシステムみたいで、とても面白い機能だと感じました。
皆さんは、イベントやセール期間中にだけ、アルバイトを増やすお店を見たことがありませんか?逆に、お客さんが少ない平日の午前中は、アルバイトの数を減らして人件費を抑えますよね。
オートスケーリング{サーバーの負荷状況を監視し、自動でサーバーの台数を増減させる機能のこと}は、このお店のアルバイト調整を、サーバーの世界で自動で行ってくれる機能です。
【オートスケーリングのメリット】
- サービスの安定化:アクセスが急増した時に、自動でサーバーを増やしてくれるので、サーバーが処理しきれなくなってサービスが停止するのを防ぐことができます。
- コスト最適化:アクセスが減った時には、自動でサーバーを減らしてくれるので、無駄なサーバーを動かし続ける必要がなくなり、コストを節約できます。
オートスケーリングは、主に以下の2つの方法で設定することが可能です。
- 動的なスケーリング:サーバーのCPU使用率やネットワークのトラフィック{通信量のこと}など、あらかじめ設定した「メトリクス」{サーバーの状況を表す数値のこと}を監視し、特定のしきい値を超えたらサーバーを増やし、下回ったら減らす、といった自動調整を行います。
- 定時スケーリング:たとえば、「平日の午前9時から午後6時まではサーバーを5台に増やし、それ以外の時間帯は最低限の1台に戻す」といったように、曜日や時間帯を決めてサーバーの台数を自動で調整することもできます。
スナップショット:サーバーをまるごとバックアップする「カメラ」

最後に紹介するのは、スナップショットです。これは、システムを運用する上で最も重要な「バックアップ」に関する機能です。
皆さんは、スマートフォンの写真やデータをこまめにバックアップしていますか?もし、スマートフォンが壊れてしまったら、大切な写真や連絡先がすべて消えてしまいますよね。サーバーも同じで、何らかのトラブルでデータが破損したり、消えてしまったりするリスクは常に存在します。
スナップショット{仮想サーバーのディスクを、ある時点の状態でまるごとバックアップする仕組みのこと}は、仮想サーバーをそのまま写真に撮るように、ある一瞬の状態を丸ごと保存しておく機能です。
【スナップショットのメリット】
- 簡単なバックアップ:ウェブブラウザの管理画面から数クリックするだけで、簡単にサーバーのバックアップを作成できます。面倒な設定や作業は必要ありません。
- 迅速な復旧:もしサーバーが故障したり、人為的なミスで重要なファイルを消してしまったりしても、作成しておいたスナップショットを使って、サーバーをバックアップした時点の状態にすぐに戻すことができます。これは、システムを運用する上で、とても大きな安心感につながります。
スナップショットのデータは、クラウドストレージサービスの運営元で保存されるため、非常に安全に保管されます。自社でバックアップシステムを構築するには、専門的な知識や高価な設備が必要ですが、クラウドを利用すればこれらの作業をすべて任せることができます。
まとめ
今回は、仮想サーバーをさらに強力に運用していくための3つの重要機能について解説しました。
- ロードバランサー:アクセスの交通整理役。大量の負荷やサーバーの故障にも対応し、サービスを安定させます。
- オートスケーリング:需要に応じてサーバーの台数を自動調整。サービスの安定化とコスト削減を両立させます。
- スナップショット:サーバーのまるごとバックアップ。万が一のデータ損失に備え、迅速な復旧を可能にします。
これらの機能は、サーバーの専門知識がなくても、クラウドの管理画面から簡単に設定できます。これらを使いこなすことで、僕たちITエンジニアは、より安全で効率的なシステムを、手軽に構築・運用できるようになります。
それでは次回までご安全に!
コメント